タルムードとは何か？ユダヤ人の成功の秘密に迫る

ユダヤ人と聞くと、どこか謎めいた印象を持つ人も多いかもしれません。

その一因として、彼らの社会的成功者の多さが挙げられます。

実際、ノーベル賞受賞者の約20%がユダヤ人であり、これは世界人口のわずか0.2%未満のユダヤ人から生まれた成果です。この驚くべき事実は、彼らの教育や文化に秘密があるのではないかと興味をそそります。

例えば、Googleの創業者ラリー・ペイジ氏、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏など、名だたる成功者がユダヤ人として知られています。

他にも、投資銀行のゴールドマン・サックスもユダヤ系組織としてその名を馳せています。

では、なぜユダヤ人はこれほどまでに多くの成功者を輩出できるのでしょうか。

生まれつき知能が高いというわけではありません。

その秘密を探る鍵となるのが、彼らの聖典である「タルムード」です。

今回は、このタルムードについて深く掘り下げ、ユダヤ人の成功の秘訣に迫ってみたいと思います。

ユダヤ人の教育とタルムード

ユダヤ人は幼少期から読書習慣を身につけており、特に聖書やユダヤ教に関する書物を深く学びます。

これは、ユダヤ人としてのアイデンティティを確立する大切なプロセスです。

神への信仰はもちろんのこと、その教えをどのように実践していくかが重要視されます。

この実践の指導者として存在するのが「ラビ」です。

ラビは、ユダヤ教における教師であり指導者で、日本で言えば先生と神主を合わせたような存在です。

ラビの指導のもと、ユダヤ人は聖書の意味を深く学び、自らの行動に生かしていきます。

歴史的に迫害を受け、故郷を失ったユダヤ人たちは、物理的な財産ではなく、知識や教育によって文化や信仰を守ろうとしました。

ユダヤ教の格言には以下のようなものがあります。

ミシュナーとは、西暦200年頃にまとめられたユダヤ教の口伝律法集です。

これは、口伝えで伝わってきた教えを文書化したもので、宗教的な教えから社会的なルールまで幅広く記されています。

つまり、ユダヤ人社会のマニュアルとも言えるものです。

13歳（女子は12歳）で迎えるミツワは、ユダヤ教における成人式であり、戒律を守る責任を持つ年齢とされています。

ここから、自分の言動に責任を持ち、戒律に従って生活することが求められます。

15歳で学ぶタルムードは、ユダヤ教の集大成とも言える書物であり、ここからユダヤ人としての思考法や感性を磨いていきます。

その膨大な内容は400ページ以上の書物が30冊以上にもなり、ユダヤ人5000年の歴史が凝縮されています。

ユダヤ人にとってタルムードを学ぶことは、単なる知識の習得ではなく、自ら考え、議論し、深めていくための重要な行為なのです。

しかし、タルムードはただ読むだけでは意味がありません。

元々が口伝えの教えであるため、文字に書き起こすこと自体に反対もあったほどです。

重要なのは、ラビたちの指導のもとで解釈を学び、自分なりの視点で考察することです。

ユダヤ人は、ヘブライ語で「もう一方に立つ人々」という意味を持つ「ヘブライ人」とも呼ばれます。これは、様々な角度から物事を見て、多面的な解釈をする姿勢を示しています。

タルムードを学ぶ際にも、自分の頭で考え、自分なりの答えを見つけることが求められるのです。

タルムードには具体的にどのような議論が記されているのでしょうか。

いくつかの例を挙げてみます。

なぜバビロニアの学者は豪華な衣装を着ているのか？
- それは彼らが自身の地位を見た目で示そうとしているから。
- いや、未知の土地ではまず見た目で評価されるからだ。
人間の耳が2つで口が1つなのはなぜか？
- それは自分が話す以上に他人の話をよく聞くため。
目には白い部分と黒い部分があるのに、なぜ黒い部分で見るのか？
- 世界の暗い面をもしっかり見るためだ。