最近、中国のAIスタートアップ、DeepSeekが開発した「DeepSeek R1」が世界のAI業界を震撼させています。このモデルは、低コストで開発されたにもかかわらず、OpenAIのGPT-4やGoogleのGeminiと同等の性能を誇り、多くの注目を集めています。しかし、同時に様々な疑問とリスクも浮上しています。
DeepSeekとは何者?
まず、DeepSeekについて簡単に説明します。
DeepSeekは中国のAI企業が開発した大規模言語モデルで、ChatGPTのような高性能な対話型AIとして注目を集めていました。
中国が先端半導体の輸入規制を受けている中で、ChatGPTよりも低コストで同等以上の性能を持つと宣伝され、AI業界を驚かせたんです。
DeepSeekは約560万ドル(約8億7000万円)の低コストで、DeepSeek-V3をベースにして開発された、より新しい推論に特化したモデルらしいです。
が、R1の具体的な開発コストやパラメータ数については、明確な情報はありません。
驚きの調査結果:正答率わずか17%
しかし、1月29日に米国の情報信頼性評価を行う企業「ニュースガード」が発表した調査結果によると、DeepSeekのニュースや情報に関する正答率はたったの17%だったんです!
これは、欧米の競合AIの平均正答率62%と比べても、非常に低い数字です。11個のAIモデル中10位という評価で、決して「ChatGPTを超えた」と言える性能ではなかったんですね。
なぜこんな結果に?
調査では、ネット上で広まっている10の虚偽の主張に基づく30の問いかけを含む300の質問をDeepSeekに投げかけました。
その結果、DeepSeekは30%の確率で誤った主張を繰り返し、53%の確率で曖昧または役に立たない回答を返しました。不十分な回答の割合は83%にも達したみたいです。
さらに興味深いのは、中国に関する質問をしていないのに、なぜか中国政府の見解を繰り返すケースもあったことです。
例えば、アゼルバイジャンの航空機墜落事故について質問した際も、中国の立場を持ち出してきたりとか。
背景にある問題点
DeepSeekの性能が低いだけでなく、他にもいくつかの問題点が指摘されています。
1. データの不正取得疑惑
DeepSeekは、OpenAIのChatGPTから出力されたデータを不正に入手し、モデルを構築した疑いがあります。
Microsoftのセキュリティ研究者は、この可能性について調査を進めているとのことです。
2. 偏った回答と検閲
中国共産党の検閲を回避するため、政治や社会思想に関する質問に対して、偏った回答や「その質問には答えられません」という回避的な対応をすることが確認されています。
3. 個人情報と安全保障上のリスク
DeepSeekを利用することで、ユーザーの個人情報や機密情報が中国政府に提供されるリスクがあります。中国の国家情報法やサイバーセキュリティ法により、中国企業は政府の要請があれば保有する全てのデータを提供する義務を負っています。
そのため、DeepSeekを利用すると、個人情報や入力したデータが中国政府に渡る可能性があり、プライバシーや安全保障上のリスクが懸念されます。
利用は慎重に
これらの問題を踏まえると、DeepSeekの利用は慎重にならざるを得ません。特に、個人情報の流出や誤った情報の拡散、さらにはプロパガンダに巻き込まれるリスクも考えられます。
まとめ
中国のAI「DeepSeek」は、一見すると革新的な技術のように思えましたが、実際には性能面や信頼性、安全性に多くの課題があることが明らかになりました。
僕たちユーザーとしては、新しい技術に飛びつく前に、その裏側もしっかりと見極めることが大切だと感じました。
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