最低賃金が上がったら、すでに高い時給の人は?40代向けに図解【2026年・岡山】

最低賃金が上がったとき自分の時給はどうなるか、給与明細を見ながら考える40代の男女のイラスト FX・経済

「最低賃金が上がりました」というニュースを見て、ふと思いました。

「すでにそれより高い時給で働いている人は、どうなるん?」

長く働いてきた人ほど、新人さんとの時給の差が縮まると、少し複雑な気持ちになるかもしれません。今回は、最低賃金の仕組みと、自分の給与明細で確認したい点を、身近な例で整理します。

先に答え

最低賃金の改定だけを理由に、すでに適用額以上の人が全員、同じ金額ずつ昇給する制度ではありません。ただし、新しい最低賃金を下回る場合は対応が必要。契約や就業規則で別に昇給の定めがある場合も確認します。

確認日:2026年10月19日。厚生労働省・岡山労働局・岡山県の公開情報を参照した一般的な解説です。個別の適用や賃金計算は勤務先・労働局等に確認してください。

岡山は時給1,104円に。全国一律の金額ではありません

岡山県の地域別最低賃金は、2026年10月2日から1時間1,104円です。これは答申段階の予定額ではなく、発効した金額です。

岡山県の地域別最低賃金

1時間 1,104円

2026年10月2日から

出典:岡山県「岡山県の最低賃金」(2026年10月9日更新)

最低賃金は地域や産業によって異なります。原則として、住んでいる場所ではなく勤務する事業場の所在地の金額を確認します。派遣の場合は派遣先の最低賃金が適用されます。

特定の産業には「特定最低賃金」もあります。両方が適用されるときは高いほうを確認する必要があります。岡山の鉄鋼業など、1,104円より高い額が適用される場合もあるため、以下の例は地域別最低賃金1,104円だけが適用される場合として読んでください。

出典:岡山労働局「岡山県の最低賃金等に関する情報」、厚生労働省・最低賃金特設サイト

図解:時給1,080円の人と1,200円の人では?

最低賃金は、給与の「下限」を決める制度です。全員に同じ昇給額を配る仕組みとは違います。

図1 あなたの時給はどちら?

Aさん:時給1,080円

新しい下限1,104円より24円低い

→ 発効日以降は1,104円以上が必要

Bさん:時給1,200円

新しい下限1,104円を上回っている

→ 改定だけで自動的に24円増えるわけではない

契約・就業規則・会社の賃金改定を確認

筆者作成の架空の例。各時給は最低賃金との比較対象になる賃金とし、減額特例等がない場合です。

最低賃金法第4条は、適用される最低賃金額以上の支払いを求めています。上のBさんについて「必ず昇給する」とならないのは、この下限をすでに満たしているためです。これは制度の趣旨から整理した説明で、契約上の昇給義務までなくなるという意味ではありません。

出典:厚生労働省「最低賃金制度とは」

新人との時給差が縮まったら、何を確認する?

「自分は仕事を教える側なのに、差があまりない」と感じるのは自然なことだと思います。ただ、新人の時給が上がった事実だけで、自分にも同じ額の昇給が決まるとは限りません。

そこで、次の3つを整理して相談する方法があります。ここは筆者からの提案です。

  • 役割:新人指導、発注、締め作業など、担当している仕事。
  • 基準:経験や技能に応じた昇給の決まりがあるか。
  • 時期:今回の改定に合わせた既存スタッフの見直しがあるか。

最低賃金の改定に合わせて、既存スタッフの時給も見直し予定がありますか。今担当している新人指導や締め作業が、どのように評価されるか教えていただきたいです。

「あの人より上げて」よりも、自分の役割と評価基準を確認するほうが、話を具体的に進めやすそうです。もちろん、相談すれば必ず上がるという保証はありません。

図解:「交通費込みなら超えている」は要注意

最低賃金と比べるのは、手取り額でも、給与明細の総支給額をそのまま割った数字でもありません。計算に含めない手当等を除いて比較します。

図2 比較する前に、ここを分ける

含めない主なもの

  • 通勤手当・家族手当・精皆勤手当
  • 賞与や臨時の結婚手当など
  • 時間外・休日の労働に対する賃金
  • 深夜の割増部分

残った比較対象の賃金を
時間額に換算して確認

深夜勤務の通常賃金まで全部除くわけではありません。その他の手当は名称だけでなく内容を確認します。

例えば、通常の時給が最低賃金を下回っているのに、深夜割増を足した額だけで「超えているから大丈夫」と判断することはできません。

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」

月給の人も関係あり。比較の式はこれ

最低賃金はパート・アルバイトだけの話ではありません。月給制でも、比較対象の賃金を時間額に換算します。

比較対象の月給 ÷ 1か月平均所定労働時間

= 最低賃金と比べる時間額

架空の例として、対象になる月給が180,000円、1か月平均所定労働時間が160時間なら、180,000÷160=1,125円です。地域別最低賃金1,104円との比較では上回ります。ただし、より高い特定最低賃金が適用される場合は、その額と比較します。

「今月たまたま出勤した時間」や、残業込みの総労働時間を何となく使わず、契約や年間の勤務カレンダー等に基づく所定労働時間を確認しましょう。

出典:厚生労働省「最低賃金のチェック方法は?」。上の数字は筆者作成の例です。

いつの給与から変わる? 給料日ではなく発効日

最低賃金を下回る場合、給与の締め日の途中でも、発効日以降の労働には新しい最低賃金以上の支払いが必要です。「来月の給料から考える」と単純に先送りできるものではありません。

例えば岡山なら、2026年10月2日以降に働いた分について、新しい下限を満たしているか確認します。給与明細に反映される支払日は、会社の締め日・支払日により異なります。

出典:厚生労働省「使用者と最低賃金制度」

給与明細と一緒に確認したい5項目

  1. 勤務先の地域・産業に適用される最低賃金と発効日。
  2. 時給や基本給、手当それぞれの内訳。
  3. 月給制なら1か月平均所定労働時間。
  4. 雇用契約書・労働条件通知書・就業規則の昇給ルール。
  5. 発効日以降の勤務分が正しく計算されているか。

合わない、分からない点があれば、明細・契約書・勤務記録をそろえて勤務先へ確認しましょう。解決しない場合や直接聞きにくい場合は、岡山労働局の案内にある賃金室・最寄りの労働基準監督署などへ相談できます。

最低賃金は「自分の働き方を見直すきっかけ」に

最低賃金が上がったから、すでに高い時給の人まで全員同じ幅で上がるわけではない。少し残念に感じるかもしれません。

それでも、自分の賃金が正しく計算されているか、経験や役割がどう評価されているかを確認するきっかけにはなります。

まずは求人の時給と比べる前に、自分の給与明細と昇給のルールを一度見てみる。数字の意味が分かると、次に何を聞けばいいかも見えやすくなります。

給料と景気の関係が気になる方は、AIで景気は良くなる?でも給料は?40代の仕事と家計を図解もあわせてどうぞ。


この記事は2026年10月19日時点の一般的な制度解説です。図解・計算例・相談文は筆者作成、表紙はAI生成のイメージです。実際の適用には特定最低賃金や減額特例等の確認が必要な場合があります。

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