経常収支とは何か?わかりやすく簡潔に解説!

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ニュースでよく耳にする「経常収支」。一体何を意味しているのでしょうか?「経常収支が黒字」「赤字」という言葉を聞くと、何がどう変わるのか疑問に思う方も多いはず。この記事では、そんな「経常収支」について、誰でも簡単に理解できるようにわかりやすく解説していきます。

経常収支とは?

経常収支とは、一言で言うと、ある国の居住者と非居住者間で行われたモノやサービスの取引、投資による収支をまとめたものです。

具体的には、経常収支は、以下の4つの主要な項目から構成されています。

  • 貿易収支: モノの輸出と輸入の差額です。例えば、自動車の輸出や原油の輸入が該当します。
  • サービス収支: サービスの取引による収支で、訪日外国人の宿泊費や海外のクラウドサービス利用料などが含まれます。
  • 第一次所得収支: 海外への投資から得られる利子や配当金、海外で働く労働者からの送金などが該当します。
  • 第二次所得収支: 無償資金協力や国際機関への拠出金など、対価を伴わない資金の移動です。

これらの項目は、国際通貨基金(IMF)の定義に基づいています。

日本の経常収支の現状

日本の経常収支は、長らく黒字基調でしたが、近年は変動が大きくなっています。近年は第一次所得収支の黒字が大きく、貿易収支が赤字でも経常収支全体としては黒字になる傾向が強まっています。

最新の財務省発表の国際収支統計によると、例えば2023年度の経常収支は25兆3390億円の黒字となりました。これは、第一次所得収支が35兆5312億円と大幅な黒字を維持したことなどが要因です。

一方で、貿易収支は3兆5725億円の赤字となりました。資源価格の高止まりや輸入増加などが影響しましたが、前年度と比べて赤字幅は大幅に縮小しています。

サービス収支は2兆4504億円の赤字ですが、インバウンド需要の回復により赤字幅は縮小しています。

これらの数字は、2023年度の国際収支統計に基づいています。

2003年~2023年の日本の経常収支の推移

令和5年度中 国際収支状況(速報)の概要 : 財務省
国際収支状況(速報)の概要

財務省の2023年度中(令和5年) 国際収支状況

経常収支と僕たちの生活への影響

経常収支は、僕たちの生活に様々な形で影響を与えます。

  • 為替レート: 経常収支の状況は、円の価値(為替レート)に影響を与えます。黒字であれば円高になりやすく、赤字であれば円安になりやすい傾向があります。
  • 物価: 円安になると、輸入品の価格が上昇し、物価が上がる可能性があります。
  • 雇用: 企業の海外進出や輸出の状況は、国内の雇用環境に影響を与えます。

経常収支をニュースで理解するためのポイント

ニュースで経常収支が取り上げられる際、以下のポイントに注目すると理解が深まります。

  • 黒字か赤字か: まず、経常収支が黒字なのか赤字なのかを確認しましょう。
  • 増減の要因: 前年や前月と比べて、どのように変化したのか、その要因は何なのかを把握しましょう。
  • 今後の見通し: 専門家や政府の見解など、今後の見通しについても注目しましょう。

経常収支と金融政策の関係

経常収支は、国の経済活動における貿易や投資収益などの取引を示す指標であり、中央銀行(日本では日本銀行)の金融政策の重要な判断材料となります。

経常収支が赤字の場合、海外からお金を借りる必要が出てくることがあります。もし海外からの資金流入が不足すると、通貨安の圧力が高まります。通貨安は、輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力が高まる恐れがあります。そのため、中央銀行は金利を引き上げることで通貨の価値を維持し、インフレを抑制しようとする可能性があります。

一方、経常収支が黒字の場合、通貨高の圧力が高まり、デフレ圧力が高まる可能性があります。この場合、中央銀行は金利を引き下げることで通貨の価値を調整し、経済の過熱を防ぐことが考えられます。

ただし、中央銀行は、物価の安定、雇用の状況、経済成長率など、様々な経済指標を総合的に判断して金融政策を決定します。経常収支はその判断材料の一つではありますが、それだけで金融政策が決定されるわけではありません。経常収支の変動は為替相場や国際的な経済情勢など多くの要因によって影響を受けるため、中央銀行の金融政策はこれらの要因を総合的に考慮して決定されます。

まとめ

この記事では経常収支を分かりやすく解説しました。経常収支は複雑な指標ですが、その基本を理解することで、経済ニュースをより深く理解できるようになります。日々のニュースに少し意識を向けることで、経済の動きが身近に感じられます。

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